登記の対象となる建物

 世の中には様々な建造物があります。これらの建物全て登記できるのか、というわけではありません。その建物が不動産登記において建物として扱われるには、ある一定の要件を満たさなければなりません。(建物認定要件)

 「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供しうる状態にあるものでなければならない」(不動産登記規則第111条)

 つまり、 要件1 外気分断性・・・屋根及び周壁などによって外気を遮断できる構造をゆうすること

      要件2 定着性・・・土地に定着し、容易に移動することができないもの

      要件3 構造性・・・材料を用い、人為的に建てられたもの

      要件4 用途性・・・使用目的にかなうだけの設備等を有していること

      要件5 取引性・・・取引の対象となりうるものであること

 と、これが全て当てはまっていることが前提条件なのです。

 ただ、この建物認定要件は抽象的なため、人によって判断が異なることがあります。そのため、登記先例によって、判断を決めている者も多々あります。

 例えば、ビニールハウスは登記できるでしょうか。ビニールは十分に外気を分断できるという人もいれば、外気を遮断するには不十分だ、という人もいるでしょう。登記先例は、ビニールハウスは外気分断性の要件をかくので、建物と取り扱わないとしています。(昭36.9.12第2208号)

 その他のものを少し見てみましょう。

  ① 鉄道の駅のホーム・・・・屋根を有する部分に限り、建物として登記できる。(不登準77条①ア)

  ② 東京ドーム・・・建物として登記できる。(昭60.8.8第4768号)ちなみに、詳細は、「周壁は鉄筋コンクリート造で、内部には屋根を支える為の柱や梁はなく、屋根面にはガラス繊維に防水加工膜材を張りめぐらせて、これを外気圧により0.25%高い内部の空気圧によって膨らませてドーム状の屋根とした建造物は建物として登記できる」屋根の種類は「空気膜屋根」だそうです。聞きなれなくてなんだか新鮮ですね。

 ③ 石油タンク又は給油タンク・・・建物として登記できない(不登準77条②ア)

 ④ では、ガソリンスタンドによくある、キノコみたいな建造物は?・・・建物として登記できない、が正解です。(昭36.11.16第2868号)まぁ外気分断どころではないですしね・・

  こうしてみると、確かにな~という気はしますよね。ちなみに、これらは調査士試験では結構重要な暗記事項なんですよ。