自筆証書遺言をする

 自筆証書遺言をするのには、①本文 ②日付 ③氏名 を自筆で書きます。通常はペンですが、鉛筆でもOKです。(消されてしまうおそれもあるのでお勧めはできませんが) そして、押印をします。 さらに、訂正個所にはその場所を指示し、これを変更した旨付記し署名、その変更箇所に押印が必要です。(民法第968条)

 認められない例として、日付を吉日とするのはいけません。但し、他の事情からその日が特定される場合には認められます。また、押印については、割と緩やかで、拇印でも構いませんし、封筒に押印されていても有効とする判例もあります。ですが、さすがにサインではいけません。のちに、認められないということを防ぐためにも、要件はきちんと守って作りましょう。

 自筆証書遺言のデメリットは、封印がしてあれば裁判所で開封することを要し、裁判所の検認が必要になります。この検認には、相続人が立ち会います。そして、遺言書に遺言執行者の記載がなかったら、裁判所へ申立てをします。検認をしなかった場合には5万円以下の過料に処されます。公正証書遺言の場合には検認は必要ありませんが、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合には必須です。また、形式の不備や記載内容がよくわからずにトラブルになったり、いい思いをしなかった相続人から筆跡が違うとの主張もされがちです。要件さえクリアーすればだれでも簡単に作れるというメリットはありますが、逆に偽造・変造・隠匿・発見されないということもおこりうります。遺言書をしたためたら、誰か身近で信頼できる人には伝えた方がよさそうですね。

 これまでデメリットを沢山あげてきましたが、メリットもあります。やはり、簡単に作れるので、費用がかからない、という点。公正証書遺言を作成するには公証人への報酬含め数万~数拾万はかかるところ、自筆はノート、封筒、ペンさえあれば誰でも作成可能です。さらに、のちに、自分の財産に変更があった場合、内容の変更も容易です。もし重複する内容の遺言書があれば、後の日付のものが有効になります。また、遺言したことやその内容を誰かに知られることもありません。