成年後見の申立てをする

 後見開始の実質的要件は、「本人が精神上の障害により弁識する能力を欠く常況にあること」です。具体的には、日常に必要な買い物も自分ではできずに、誰かに代わってやってもらう必要がある、という状態です。

 最高裁判所による紹介事例は「アルツハイマー病の男性で、5年ほど前から物忘れがひどくなり、直属の部下を見ていても誰かわからなくなるほど、しだいに社会生活を送ることができなくなってきた。家族の判別もつかなくなり、症状は重くなり、回復の見込みはない。2年ほど前から入院している。」です。

 補助・保佐・後見のうちどれに該当するのかは、基本的には申立時に添付した医師の診断書の記載を基準にすることになります。この場合の医師は、精神科であることは要せず、かかりつけの医師でもかまいません。

 後見開始の審判の申し立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所におこないます。もし、本人が施設に入っている場合には、住民票の住所地ではなく、施設の所在地を管轄する家庭裁判所になります。

 申立てに必要な書類は、申立書、収入印紙800円、予納郵便切手(裁判所により異なる)、登記印紙4000円、鑑定の予納5万円~10万円程度(鑑定が行われる場合に、裁判所の指示により納めればよい)。

 添付書類は、申立人の戸籍謄本、本人の戸籍謄本・戸籍の附票・成年後見に関する登記事項証明書・診断書、候補者の戸籍謄本・住民票の写し・身分証明書(市町村長発行の破産宣告又は手続開始決定の通知を受けていない旨の証明書)・登記されていないことの証明書。その他、任意の書類として、以下のものを添付すると審判の期間短縮になります。本人の介護保険の被保険者証や障害者手帳、年金手帳、財産目録等。成年後見人候補者の経歴、病歴など記載した書面。  ・・・※裁判所によって異なるため、予め確認してください。