遺言とは、自分が死んだあとに自分の遺産をどうするのか、最後の意思表示をすることです。自分が死んだあと、相続人間で自分の残した財産について骨肉の争いが行われることになると、死んでも死にきれないですよね。人の死後、相続権の行方は先に述べた取り、法定されています。これを、遺言によって自分の思う人に相続させることができるのです。
例えば、子供がなく妻と二人暮らしで、財産といえば今妻と住んでいる住宅とその敷地しかない場合。夫の死後、妻は夫の兄弟と夫の財産について遺産分割協議をします。この時に夫の兄弟が行方不明なら・・・(戸籍をおっていって行方をつきとめるか、財産管理人選任又は失踪宣告などをしなければなりません)破産していたら・・・(自分に相続権があると知ったら、ただでハンコは押さないというかもしれません)・・・その他、何があるのかわかりません。こんな時は、夫が「財産は妻に相続させる」などと遺言を書いていれば、解決です。兄弟には遺留分がありませんので、兄弟にとやかく言われずに、妻だけで、自己名義に変更ができます。
その他の例として、例えば、夫に前妻の子供がいる場合。後妻と前妻の子供は法律上供に相続人になります。離婚していようが、夫の子供にはかわりありません。この時、いらぬ感情から協議が進まない、ということもあります。そんな時、遺言書があれば、協議をせずにすみます。この時に注意すべきは、後妻にばかり配慮し、前妻の子供をないがしろにしてしまうと、遺留分の主張をされる恐れがあります。子供にも遺留分相当の財産をあげなくてはなりません。
遺言書には、普通方式と特別方式があります。特別方式は、死期が迫っているときなどにかかれるもので、通常は普通方式に該当します。普通方式には、①自筆証書遺言 ②公正証書遺言 ③秘密証書遺言 があります。遺言は、効力が発生する時にはすでに当人はおりませんので、厳格にその方法が法定されています。ですので、自筆で書くところをパソコンで作ってしまった場合、自筆証書遺言としては方式違反です。ただ、争いがない場合に等には、故人の遺志を尊重する為の一つの指針にはなるでしょう。