遺言を撤回するには

 遺言者は、その遺言の全部または一部を自由に撤回することができます。

 ですが、遺言の撤回は遺言の方式によってしなければなりません。つまり、自筆証書遺言の方式よるなら、遺言を撤回する旨と日付、名前を自筆で書き、押印をすればいいということです。各々の方式に従えば、自由に撤回可能です。この場合、公正証書遺言でしたものについて、自筆証書遺言での撤回も可能でです。

 もし、内容を変更したいということならば、もう一度遺言をすればいいのです。内容が抵触(かぶる)するものについては、新しい方の遺言が原則有効です。もし、新しくした遺言が詐欺や強迫により取消される場合には、始めにした遺言が復活します。(民法第1025条)

 遺言でA不動産をBに遺贈する、としたが、亡くなる前にA不動産をCに贈与してしまった場合はどうでしょうか。その場合には、遺言内容が生前行為と抵触しておりますので、その抵触する部分を撤回したものとみなされます。(民法第1023条)

 遺言はあくまで遺言をする者の最終の意思によるものです。意図していない遺言では、遺言をする意味がありません。