保佐の申立ての実質的要件は、「本人が、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分であること(ただし、本人に後見開始の審判の原因がある場合は除く)」です。つまり、保佐よりも判断能力が後退している成年後見に該当する方は、保佐ではなく、成年後見の申立てをしなさい、ということですね。具体的には、日常の買い物程度は単独でできるが、不動産や自動車の売買、自宅の増改築、金銭の貸し借りなどの重要な財産行為は自分ではできない、という場合。
最高裁判所による紹介事例は「中程度の痴呆女性で、以前から物忘れが見られた。最近症状が進み、買い物で1万円札を出したか5千円札を出したのか分からなくなることが多くなった。日常生活に支障が出てきたため、長男家族と同居することになった。」
保佐開始の審判は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。費用は、収入印紙800円、予納郵便切手(裁判所によって異なる)、登記印紙4000円、鑑定料の予納5万円~10万円程度。
必要書類は、申立書、申立人の戸籍謄本、本人の戸籍謄本・戸籍の附票・成年後見に関する登記事項証明書・診断書、補助人候補者の戸籍謄本・住民票の写し・身分証明書(本籍地の市町村長発行の破産の宣告又は手続開始決定の通知を受けていない旨の証明書)・登記されていないことの証明書 ・・・※ 裁判所により異なる場合があるため、申立てをする裁判所へご確認下さい。
また、保佐の場合、原則として民法第13条記載の重要な財産行為の同意権のほかに、保佐人の同意を要する行為や特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることを審判で定めることができますので、その場合には、併せて申立てが必要です。収入印紙は各800円。
保佐開始の審判をするには、原則本人の精神状況について医師その他適当な者に鑑定をさせなければなりません。しかし、明らかにその必要がない場合にはこの限りではありません。